“さまよう刃”読書感想
読了まで5時間30分
何が善で、何が悪なのか
少年法が大きなテーマになっていて
被害にあった娘の父親が狂気に向かう内容です。
わたしの中では何年かぶりの長編小説でしたが物語に引き込まれスラスラと読めました。
「何故、自分の娘が・・・」
この思いは当事者にしか分からず
また世間は非日常から日常に
時間が経てば何事も無かったかのように戻っていきます。
父親の葛藤
どうにもならない歯がゆさ
目的を達成しても報われない喪失感
その中でも差し伸べてくれる手
復讐という軸がひとりの人間をこんなにも変えてしまう
しかし人として根底にあるものは変わらない
様々な心理が入り乱れていると感じました。
少年法とは何なのか?
ひとりの母親として被害者側の立場だったらと思うと胸が締め付けられるような思いです。復讐が身体の中も精神もむしばんで行くのではないかと想像は出来ます。
加害者側の立場だったらと・・・考えたくもありません。
犯罪は被害者も加害者も救われません
一番憎むべきは犯罪だと考えます。
今の法律では加害者にばかり焦点があてられ更生への道を作りますが
被害者の方、その家族に対するフォローは考えられているのか
疑問に感じる点が多いのもまた事実。
その中で警察の心理が見え隠れしていたことに
ひとつの救いを感じることも多々ありました。
刑事もひとりの人間で、また家族があり
しかし法を司るものとしては正しいと言われている道を示していかなくてはいけない。
予想とは違う結末で終わったので
「なるほど」でも「えっ?そうなの」という思いもあり
最後の一字一句まで読み応えのある一冊でした。
映画化もされているようなので、そちらも見てみたいと思います。